
損益分岐点を、一度だけ出しておく
こんにちは。デンタルMBAの萩原直樹です。
今回は、一度出しておくと一生使える数字のお話です。
損益分岐点という言葉は、たいていの院長先生がご存じです。ただ、自院の数字で出したことがあるという方は、そう多くありません。
出しておくと何がいいか。毎月の数字を見るときに、迷わなくなります。
出し方
必要なのは3つだけです。
1. 毎月かならず出ていくお金(固定費)
家賃、リース、人件費、水道光熱費、保険料、借入の返済。患者さんが来ても来なくても出ていくものです。
2. 売上に連動して出ていくお金の割合(変動費率)
材料費と技工料が中心です。月の売上に対して何パーセントかを出します。
3. 計算
損益分岐点の売上 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
変動費率が30%で、固定費が月400万円なら、400 ÷ 0.7 で約571万円。この売上までは、利益は出ません。
出したあと、何が変わるか
数字そのものより、出したあとの見え方が変わります。
毎月の数字を見る目が変わります。 「今月は売上が落ちた」ではなく「今月は分岐点を60万円下回った」になります。どれくらい足りなかったかが、金額でわかります。
設備を入れるときの判断が変わります。 機械を1台入れるとリースが増え、分岐点が上がります。月々いくら上がるか、それを埋めるには何件増やす必要があるか。ここまで出してから決められます。
人を採るときの判断も同じです。 1人採ると固定費が上がり、分岐点が上がります。その人が入ることで、その分の売上が増える見込みがあるか。感覚ではなく、金額で考えられます。
分岐点が高すぎるとき
計算してみて、いまの売上では届かない、あるいはぎりぎりだとわかることがあります。
そのときに取れる手は、3つしかありません。
1. 売上を増やす
2. 固定費を減らす
3. 変動費率を下げる(原価の見直し)
3つしかないと分かっているだけで、考えることが減ります。どれから手をつけるかを決めるのが経営の判断で、選択肢が無限にあるわけではありません。
このうち3番目は、見落とされがちです。自費の治療は金額が大きいぶん、原価も大きく乗っています。診療ごとに原価率を出してみると、思っていたのと違う順番が見えることがあります。
まず、診療ごとに並べてみてください
変動費率を出すには、診療ごとの原価がわかっている必要があります。そこから入るのがいちばん早道です。
診療別 利益シミュレーターに、診療名、1件の売上、原価、かかる時間、月の件数を入れてみてください。合計の原価率がその場で出ます。それがおおよその変動費率です。
登録は要りません。おおよその数字で構いません。一度出しておけば、来月からの数字の見え方が変わります。
マーケティング論を、体系立てて学ぶ
こうした考え方を半日かけて扱うのが、デンタルMBAの「マーケティング論」です。2027年6月6日に横浜で開催します。院長先生だけでなく、主任やチーフ、事務長の方もご一緒に受講いただけます。
