
人件費率だけを見ていると、見落とすもの
率は下がった。なのに、人が足りない。
人件費率は、医院の数字でもっともよく見られ、もっとも読み方を誤られる数字です。率が下がって喜ぶ前に、分子と分母のどちらが動いたかを見ます。
率は、2つの理由で下がる
人件費率は、人件費を売上で割った数字です。だから下がり方は2通りあります。人件費が減ったか、売上が増えたか。
前者は人が辞めた可能性があります。後者は医院が伸びた可能性があります。同じ「下がった」でも、意味は正反対です。
率だけを月ごとに並べても、この区別はつきません。人件費の金額と、売上の金額を同じ表に並べる。それで初めて読めます。
1人あたりに直すと見えるもの
率よりも先に見ていただきたいのは、1人あたりの売上です。常勤に換算した人数で売上を割ります。
この数字は、医院の仕組みの強さを表します。人を増やして売上も増えたなら、1人あたりは変わりません。仕組みが変わったのではなく、規模が変わっただけです。
1人あたりが上がっているなら、やり方が良くなったということです。設備か、手順か、人の育ちか。どれかが効いています。
適正な率は、医院の形で変わる
「人件費率は何%が正しいですか」とよく聞かれます。答えは、医院の形によって変わります。
自費の割合が高い医院では、1件あたりの売上が大きいので率は下がります。予防に力を入れている医院では、歯科衛生士の人数が多くなるので率は上がります。どちらも悪くありません。
比べるなら、他院とではなく、去年の自院とです。同じ形の医院どうしでなければ、率の比較は意味を持ちません。
率が低すぎる医院のほうが危ない
率が高いと不安になりますが、実際に危ないのは低すぎる医院です。
人件費率が極端に低い医院では、たいてい人が足りていません。足りていないので、一人あたりの負担が重い。重いので辞める。辞めるので、また足りなくなる。
そして人が辞めた月は、率が下がります。数字の上では良くなったように見える。ここがいちばんの落とし穴です。
この記事のまとめ
- 率が下がる理由は2つ。人件費が減ったか、売上が増えたか
- 金額を並べないと、その区別はつかない
- 率より先に、1人あたりの売上を見る
- 適正な率は医院の形で変わる。比べるなら去年の自院と
- 人が辞めた月は率が下がる。良くなったように見える
