
会議体を三つに分ける
毎月会議を開いているのに何も変わらない、という相談をよくいただきます。参加者のやる気の問題に見えますが、ほとんどは設計の問題です。一つの会議で報告も相談も決定も全部やろうとすると、時間の大半が報告に取られて、決めるところまで辿り着きません。
この記事の要点
- 会議は目的ごとに分ける。朝礼・運営会議・経営会議の三つ
- 会議ごとに、誰が決めてよいかを先に決めておく
- 議事録に残すのは、決まったこと・担当・期日の三つだけ
会議の生産性は、その後に何が起きたかで測られる。
ドラッカーは、会議そのものではなく会議のあとを見よと述べました。議論が盛り上がったかどうかは指標になりません。翌週、決まったことが実行されているか。それだけが会議の成果です。この見方に立つと、会議を短くすることより、決まったことを残す仕組みのほうが先だと分かります。
報告会になるのは、決定権がないから
会議が報告で終わる医院には、共通する形があります。その場に決められる人がいないのです。
議題が出る、意見が出る、最後に「院長に確認します」で終わる。次の月、同じ議題がまた上がります。これを繰り返すと、参加者は「どうせ決まらない」と学習し、発言が減ります。
逆に、院長が全部の会議に出ている医院でも同じことが起きます。院長がいると、全員が院長の顔を見て話すようになり、その場は院長への報告会になります。
直し方は一つです。会議ごとに、ここで決めてよいことを先に決めておく。組織図に書いた権限を、会議にも割り当てます。
三つに分ける
会議は目的ごとに分けます。歯科医院の規模なら、三つで足ります。
朝礼は、今日の予定と注意点を揃える場です。毎日10分、立ったまま。ここでは決めません。
運営会議は、その週に起きたことを片づける場です。週に一度30分、セカンドラインが集まります。ここで決めきります。
経営会議は、数字を見て来月の打ち手を決める場です。月に一度90分。院長が出る唯一の会議です。
この三つを分けると、院長が出る会議は月に一度だけになります。それでも運営は止まりません。止まるとしたら、運営会議に決定権が渡っていないからです。
朝礼では決めない
朝礼で判断しようとする医院は多いのですが、これはうまくいきません。
時間がないので結論を急ぎます。急いで決めたことは、条件を確かめないまま決まります。そして翌週、別の条件が出てきてひっくり返ります。
朝礼で扱うのは、今日という一日を揃えるために必要なことだけです。誰が何時に休憩に入るか。今日来る患者さんで注意が要る方はいるか。器材で使えないものはあるか。
判断が必要な話が出たら、「それは運営会議で」と言って切ってください。切る役は院長ではなく、朝礼の進行役に持たせます。院長が切ると、発言そのものが減ります。
運営会議で決めきる
運営会議は、この設計のかなめです。ここが機能すれば、院長の時間は目に見えて空きます。
出るのはセカンドラインだけ。三人から五人が適正です。議題は前日までに持ち寄り、その場で出た議題は次回に回します。準備なしで出た議題は、たいてい決まらないからです。
30分で終わらせるために、議題は多くても五つまで。一つ六分です。短いと感じますが、準備してあれば足ります。足りないものは次回に回すか、その場で担当を決めて別途話します。
決めきることを徹底してください。「持ち帰って検討」を認めると、この会議は報告会に戻ります。情報が足りずに決められないなら、何をいつまでに調べて誰が決めるかを、その場で決めます。
院長はこの会議に出ません。出ると全員が院長を見ます。議事録だけ受け取ってください。
経営会議は数字から入る
経営会議は、院長とセカンドラインで月に一度。ここは数字から入ります。
先月の医業収入、新患数、キャンセル率、自費率、人件費率。順番を決めて毎月同じ項目を見ます。項目を毎回変えると、比較ができません。
数字を見たあと、上がった理由と下がった理由を言葉にします。ここで「頑張ったから」「たまたま」で片づけないでください。何をしたから上がったのかが言えないと、来月も同じことができません。
そのうえで、来月の打ち手を一つか二つだけ決めます。五つ決めても実行されません。一つに絞って、担当と期日をつけます。
90分のうち、数字を見るのが30分、理由を話すのが30分、打ち手を決めるのが30分。この配分で回ります。
議事録は三つだけ書く
議事録が続かない医院は、書きすぎています。誰が何を言ったかを全部書こうとすると、書く人の負担が重くなり、そのうち誰も書かなくなります。
書くのは三つだけです。決まったこと、担当、期日。議論の経過は要りません。A4の半分で足ります。
書く人は、進行役以外の一人にします。進行しながら書くと、どちらも中途半端になります。
次の会議は、前回の議事録を読み上げるところから始めてください。期日を過ぎているのに終わっていない項目があれば、そこから話します。この確認があるだけで、決まったことが実行される確率が上がります。
ドラッカーの言うとおり、会議は終わったあとに何が起きたかで測られます。議事録は、それを測るための唯一の道具です。
よくあるご質問
会議の時間はどれくらいが適切ですか?
朝礼10分、運営会議30分、経営会議90分が目安です。時間を先に区切ると、議題の絞り込みが進みます。
全員参加の会議は必要ですか?
朝礼だけで足ります。決める人が集まる場に、決めない人を入れると議論が広がりすぎます。
議事録は誰が書きますか?
進行役以外の一人が書きます。書くのは決まったこと・担当・期日の三つだけ。A4半分で足ります。
この記事のまとめ
- 会議が報告会になるのは、その場に決められる人がいないから
- 朝礼・運営会議・経営会議の三つに分け、それぞれに決定権を割り当てる
- 朝礼では決めない。判断が要る話は運営会議へ回す
- 運営会議はセカンドラインだけで30分。持ち帰りを認めない
- 経営会議は毎月同じ項目の数字から入り、打ち手は一つか二つに絞る
- 議事録は決まったこと・担当・期日の三つだけ。次回は前回の確認から始める
会議体を組織図と合わせて設計するのが組織設計論です。2027年1月31日(日)に開催します。
