
患者さんが治療をやめてしまう、本当の理由
こんにちは。デンタルMBAの萩原直樹です。
今回は、治療の中断についてです。
ある医院で、中断された方のカルテを一緒に見ていきました。やめた理由を、一人ずつ確かめていったのです。
痛みが取れたから、という方。たしかにいらっしゃいます。忙しくなった、引っ越した、という方もいます。
ただ、いちばん多かったのは、こうでした。
次に何をするのか、分からなくなった。
「忘れた」のではありません
中断を患者さんの意識の問題にしてしまうと、そこで話が終わります。意識が低い、だから来ない、と。
けれど、よく聞いてみると、違うのです。
「まだ途中だっていうのは分かっていたんですけど、あと何回かかるのか分からなくて」
「次がいつだったか、あやふやになってしまって」
悪気はありません。痛くないのですから、思い出すきっかけがないのです。
そして、しばらく空いてしまうと、行きづらくなります。
「今さら行ったら、怒られるかな」
これで足が遠のく方が、かなりいらっしゃいます。
紙を1枚、お渡しする
対策は、驚くほど単純です。
治療の予定を書いた紙を、1枚お渡しする。
今日やったこと。次にやること。全部で何回くらいかかるか。終わったらどうなるか。これを、その場で手書きで構いませんので、書いてお渡しします。
画面を見せながら説明するだけでは、残りません。紙は持って帰れます。冷蔵庫に貼る方もいらっしゃいます。
ある医院では、この紙を渡すようにしてから、中断の数がはっきり減りました。やっていることは、ほとんど変わっていません。持って帰れる形にしただけです。
途中で止まっている方を、拾い出す
いまお通いの方への対策と合わせて、すでに止まっている方も見ていきます。
- 最後の来院から3か月以上空いている方を一覧にする
- 治療が途中で終わっているかどうかを確かめる
- 途中の方に、お手紙かお電話で連絡する
- 連絡した結果を記録する
連絡するときのコツがあります。「お久しぶりです、いかがですか」では、ほとんど戻られません。
何が途中なのかを、具体的にお伝えする。
「右下の奥歯、かぶせ物の型を取ったところで止まっています。あのままだと歯が欠けやすい状態ですので、一度お見せいただけませんか」
ここまで言われると、思い出されます。そして、怒られないと分かります。
メンテナンスに回してしまっていませんか
もう一つ、見落としやすい形があります。
治療が途中なのに、メンテナンスの流れに乗ってしまっている方です。
定期的には来てくださっている。クリーニングはしている。けれど、途中で止まっている治療はそのまま。担当が分かれていると、これが起きます。歯科衛生士は治療のことを「先生の領分」と思い、先生は「ちゃんと通っているから大丈夫」と思っている。
誰も困っていないので、何年も放置されます。
メンテナンスに移行された方のうち、治療が完了していない方が何人いるか。 これを一度数えてみてください。おそらく、思っているより多いはずです。
中断は、医院側で減らせます
患者さんの意識の問題にすると、打つ手がなくなります。
けれど、次に何をするのかが分かる状態になっているか。 これは医院の側の問題です。
紙を1枚渡す。止まっている方を拾う。この2つだけで、変わります。
マーケティング論を、体系立てて学ぶ
こうした考え方を半日かけて扱うのが、デンタルMBAの「マーケティング論」です。2027年6月6日に横浜で開催します。院長先生だけでなく、主任やチーフ、事務長の方もご一緒に受講いただけます。
