
院長の時間の使い方を見直す
経営を考える時間がない。多くの院長がそう言います。しかし時間は、空くのを待つものではなく、つくるものです。何をやめるかを決めない限り、その時間は永久に来ません。
この記事の要点
- 経営の時間は空くのを待つものではなく、先に確保するもの
- チェアに入る時間を減らす前に、判断を渡す相手を決める
- 渡す業務は、頻度が高く失敗が戻せるものから選ぶ
時間は、最も乏しい資源である。これを管理できなければ、何も管理できない。
ドラッカーは、成果をあげる人はまず自分の時間が何に使われているかを記録すると書いています。削る前に、測ることから始まります。
空く時間を待っている限り、来ない
経営の設計は、締め切りのない仕事です。今日やらなくても誰も困りません。一方、診療には患者がいて、締め切りがあります。放っておけば、締め切りのある仕事が時間のすべてを埋めます。
これは意志の弱さではなく、構造です。だから対策も構造で行う必要があります。具体的には、経営を考える時間を先に予定として確保し、そこには診療を入れないことです。
空いたらやろうと考えている限り、その時間は来ません。医院が成長するほど、空き時間は減っていくからです。
院長がチェアに入る時間の意味
院長がチェアに入ることには二つの意味があります。ひとつは売上を生むこと。もうひとつは、医院の診療の基準を示すことです。
前者だけが目的なら、勤務医に置き換えられる部分があります。後者が目的なら、どの症例に入るかを選ぶことに意味があります。すべてに入る必要はありません。
自分がチェアに入っている時間のうち、どれが基準を示すための時間で、どれが単に手が足りないからの時間なのか。この区別がつくと、削れる部分が見えてきます。
渡せる業務の見つけ方
一週間、自分が何に時間を使ったかを書き出してみることをお勧めします。診療、確認、電話対応、発注、面談、書類。分単位でなくて構いません。
書き出したものを3つに分けます。院長でなければできないこと、いまは院長がやっているが他の人でもできること、そもそもやらなくてよいこと。
多くの場合、二つめが想像より多く出てきます。そして三つめも必ずあります。長年の習慣で続いているだけの作業が、どの医院にもあります。
渡すときに必要なもの
業務を渡すときには、手順だけでなく判断の基準も一緒に渡します。「困ったら聞いて」では渡したことになりません。
また、渡した直後は一時的に効率が落ちます。教える時間がかかり、やり直しも出ます。ここで元に戻すと、渡すこと自体ができなくなります。落ちる期間があることを、あらかじめ見込んでおくことです。
渡したあとに院長がやるべきなのは、細かく口を出すことではなく、結果を一定の周期で見ることです。見る周期を決めておけば、任せていても不安になりません。
週に半日から始める
いきなり大きく空ける必要はありません。週に半日、診療を入れない時間をつくる。それだけでも変わります。
この半日で何をするかを先に決めておくことが大切です。決めていないと、結局は溜まった事務作業で埋まります。数字を見る、来月の採用を考える、次の設備投資を検討する。議題を持って臨む時間にします。
半日が定着したら一日に増やす。この順序であれば、医院の運営に無理が出ません。
時間ができた先に何をするか
時間をつくること自体が目的ではありません。つくった時間で、締め切りのない重要な仕事を進めることが目的です。
理念を言葉にする。三年後の姿を描く。数字の見方を身につける。人の育成を設計する。どれも今日やらなくても困りませんが、三年後の医院を決めるのはこちらです。
忙しさは、判断を先送りするための最も自然な理由になります。だからこそ、忙しいうちに時間を確保した医院だけが、次の段階に進みます。
よくあるご質問
経営の時間はどれくらい必要ですか?
週に半日が目安です。まとまった時間でないと、考える仕事は進みません。
診療を減らすと売上が落ちませんか?
短期では落ちることがあります。ただし院長がチェアに入り続ける限り、売上の上限は院長の体力で決まります。
何から手放せばよいですか?
毎日発生していて、失敗しても取り返せる業務からです。発注や予約調整が典型です。
この記事のまとめ
- 経営の設計は締め切りがないため、先に予定として確保しないと時間は来ない
- チェアに入る時間を「基準を示す時間」と「手が足りない時間」に分けて考える
- 一週間の時間の使い方を書き出し、渡せる業務とやめる業務を洗い出す
- 業務を渡すときは判断の基準も渡す。一時的に効率が落ちることを見込む
- 週に半日から始め、その時間で何をするかを先に決めておく
この論点を体系的に扱うのはデンタルMBAとはです。
