
院長に判断が集中する、本当の理由
院長に判断が集中する。その形はどこから来るのか。
医院にうかがうと、院長がこうおっしゃることがあります。「決めることが多すぎて、診療に集中できない」。
材料の発注も、シフトも、スタッフ同士の行き違いも、最後は院長のところへ上がってくる。判断そのものが難しいのではなく、判断が集中する形になっているのです。
確認が多いのは、スタッフが考えていないからではない
「これくらい自分で決めてくれたら」。そう思われたことはありませんか。
けれど、確認が多いのはスタッフが考えていないからではありません。どこまで自分で決めてよいのかが示されていないからです。
権限があいまいなとき、人は確認を取ります。それがいちばん安全だからです。叱られることもなく、責任も負わない。確認は、スタッフにとって合理的な行動なのです。
つまり、確認が多い医院は、スタッフの問題ではなく、決めごとの問題を抱えています。
組織図を「役職の一覧」にしていないか
多くの医院で、組織図は役職名の四角が並んだだけのものになっています。院長がいて、その下に歯科医師、歯科衛生士、受付。きれいに並んでいますが、これを見ても誰が何を決めてよいかは分かりません。
組織図は、役職の一覧ではありません。意思決定の地図です。
「この金額までの発注は、この人が決める」「シフトの調整は、この人が決める」「患者さんからのお申し出は、この段階まではこの人が答える」。こうして決めてよい範囲が書かれて、はじめて地図になります。
まず1週間、上がってきた確認を書き出す
いきなり組織図を描き直す必要はありません。まず1週間、院長のところに上がってきた確認を書き出してみてください。メモ用紙でも、スマートフォンのメモでも構いません。
書き出すと、同じ種類の確認が何度も来ていることに気づきます。発注の金額、予約の変更、患者さんへの説明の仕方。多くは数種類に収まります。
そこが、渡せる範囲です。
渡した範囲には、口を出さない
ここがいちばん難しいところです。範囲を決めて渡したのに、結果が気になって口を出してしまう。一度でもそれをすると、スタッフは「やはり確認したほうが安全だ」と学びます。元に戻ります。
範囲は狭くてかまいません。広さより、一貫していることのほうが効きます。
3つだけ渡して、その3つには絶対に口を出さない。それが半年続けば、スタッフは次の範囲も引き受けられるようになります。
この話を、半日かけて扱います
2027年1月31日(日)の「組織設計論」では、ご自身の医院の組織図を、その場で描き直していただきます。役職の一覧ではなく、意思決定の地図として。
院長お一人ではなく、主任やチーフ、事務長の方もご一緒に受けられます。決めてよい範囲の話は、渡す側と渡される側が同じ場で聞いたほうが、戻ってからの話が早く進みます。
この記事のまとめ
- 確認が多いのは、権限が示されていないから
- 組織図は役職の一覧ではなく、意思決定の地図
- まず1週間、上がってきた確認を書き出す
- 渡した範囲には口を出さない。狭くてよい
