
同意書に書いていないことが、いちばんもめます
こんにちは。デンタルMBAの萩原直樹です。
今回は、同意書のお話です。
ある医院で矯正の症例を見ていたときに、同意書を確認する機会がありました。よくできた書面でした。治療の流れ、期間、費用、支払いの方法。ひと通り書いてあります。
ところが、実際にいちばん言われることが、1行も書かれていませんでした。
治療によって歯の隙間が目立つようになる場合がある、という点です。起こりうることですし、説明もされている。けれど、紙には残っていませんでした。
口で説明した、では残りません
説明はしています。これは間違いありません。
ただ、患者さんは何か月も前の説明を覚えていません。治療が進んで気になったとき、こうおっしゃいます。
「そんな話、聞いていません」
ここで「いえ、お伝えしました」と返しても、どうにもなりません。証明できないからです。そして、この一往復で信頼が崩れます。
紙に書いて、その場で見ていただき、署名をいただく。 これだけで、ほとんどの行き違いは起きません。
書くべきは「起こりうる、良くないこと」
同意書に治療の良いところを並べても、意味がありません。良いところは説明で伝わっています。
書くのは、起こるかもしれない、望ましくないことです。
- 治療の結果として、見た目に変化が出る場合があること
- 予定より期間が延びる場合があることと、その理由
- 追加の処置が必要になる場合と、そのときの費用
- 患者さんにお願いすること(装着時間、通院の間隔)と、守られなかった場合に起こること
4つ目を書いていない医院が多いのですが、ここがいちばんもめます。うまくいかなかった原因が、医院にあるのか患者さんにあるのか。 先に書いておかないと、後から決められません。
もめた例を、そのまま同意書に足す
同意書は、一度作って終わりにしないでください。
おすすめしているのは、実際にもめた内容を、そのつど1行ずつ足していくやり方です。
「そんな話は聞いていない」と言われたことを記録しておき、月に一度まとめて見直す。そして、同意書に足す。これを1年続けると、その医院に本当に必要な同意書ができあがります。
他院の書式をそのまま使っても、こうはなりません。医院によって、もめるところが違うからです。
同意書は、患者さんを守る紙でもあります
同意書というと、医院を守るための書類だと思われがちです。
そうではありません。患者さんが「聞いていなかった」と後悔しないための紙です。
読んで、納得して、それでもやりたいと思っていただく。そこまで含めて、治療の入り口だと考えています。
先生の医院の同意書を、一度読み返してみてください。この1年でもめたことが、ちゃんと1行入っているでしょうか。
マーケティング論を、体系立てて学ぶ
こうした考え方を半日かけて扱うのが、デンタルMBAの「マーケティング論」です。2027年6月6日に横浜で開催します。院長先生だけでなく、主任やチーフ、事務長の方もご一緒に受講いただけます。
