
個人の目標をやめて、チームの目標にした
こんにちは。デンタルMBAの萩原直樹です。
今回は、目標の立て方についてです。
ある医院で、スタッフの目標と報奨の仕組みを作り直しました。それまでは一人ひとりに数字の目標がありました。それを、チームの目標に変えたのです。
迷われる院長先生が多いところなので、なぜそうしたのかを書いておきます。
個人の目標が、うまくいかない理由
一人ひとりに数字を持たせると、分かりやすい。頑張った人が報われる。理屈としては正しいのです。
ところが、歯科医院ではうまくいかないことが多い。理由は3つあります。
ひとつ目。一人で完結する仕事が、ほとんどないからです。
患者さんが自費を選ばれるまでには、受付の対応があり、歯科衛生士の説明があり、先生の診断があり、カウンセリングがあります。最後に話をした人の成果にしてしまうと、手前で動いた人の働きが消えます。
ふたつ目。担当する患者さんによって、条件が違いすぎるからです。
はじめから自費を考えておられる方を担当するのと、長く通っておられる保険中心の方を担当するのでは、同じ努力でも数字が変わります。本人にはどうにもなりません。
みっつ目。助け合わなくなるからです。
これがいちばん大きい。自分の数字を追い始めると、人の手伝いが「自分の時間を削るもの」になります。医院の中で、いちばん壊してはいけないものが壊れます。
チームの目標にすると、何が変わるか
この医院では、医院全体の目標を一つ置きました。達成したら、全員に報奨が出ます。
すると、こういうことが起きます。
- 手の空いた人が、自然に手伝いに入る
- 「あの患者さん、こういう話をされていました」と情報が回る
- うまくいっている人のやり方を、聞きに行くようになる
- 新人を育てることが、自分の損にならなくなる
4つ目が効きます。個人の数字で評価される医院では、新人に教える時間は、自分の数字を削る時間です。チームの目標なら、新人が育つことは自分の得になります。
「頑張らない人」が得をするのでは
必ずこのご質問をいただきます。もっともです。
対策は2つあります。
ひとつは、数字以外の評価を別に持つこと。チームの目標は報奨のため、個人の評価は昇給と昇格のため。分けてしまいます。目標と評価を一つにしようとするから、無理が出るのです。
もうひとつは、一人ひとりの守備範囲をはっきりさせること。
数字の目標は持たせなくても、「あなたはここを担当する」は決めます。自分の受け持ちの患者さんが何人いて、どの方をどう見ていくか。ここが決まっていれば、やっていないことは見えます。
目標は、達成できる高さに置く
最後にもう一つ。
目標を高く置きすぎる医院が、本当に多いのです。届かない目標は、置いていないのと同じです。二度目からは誰も本気にしません。
まず一度、達成させてください。
達成したときの空気を、全員に経験してもらう。そのあとで上げればよいのです。順番を逆にすると、何年経っても達成の経験がない医院になります。
数字を追う仕組みよりも、一度みんなで達成した記憶のほうが、医院を強くします。私はそう思っています。
人材マネジメント論を、体系立てて学ぶ
こうした考え方を半日かけて扱うのが、デンタルMBAの「人材マネジメント論」です。2027年3月28日に横浜で開催します。院長先生だけでなく、主任やチーフ、事務長の方もご一緒に受講いただけます。
