
事務長を置く医院と、置かない医院
置けば楽になる、とは限りません。
事務長を置いて医院が変わったという話も、置いたけれど続かなかったという話も、どちらもよく聞きます。分かれ目は人選ではなく、先に仕事を決めたかどうかです。
「院長の手が空くように」では、務まらない
事務長を探す理由として最も多いのが、院長の手が空くようにというものです。気持ちは分かりますが、これは仕事の中身ではありません。
中身が決まっていない役職に人が入ると、その人は毎日「何をすればよいか」を探すことになります。そして院長に聞きに来ます。手は空きません。
置く前に、いま院長がしていることを書き出します。書き出して、渡せるものに印をつける。その印の集まりが、事務長の仕事です。
渡しやすいのは、手順が決まっているもの
発注、支払い、備品の管理、保険の請求にまつわる事務、求人の手配、日程の調整。これらは手順が決まっているので渡しやすい。
渡しにくいのは、医院の方向を決めることと、治療に関わる判断です。これは院長から離れません。
よくある失敗は、渡しにくいものを渡してしまうことです。人の評価を事務長に丸ごと任せると、現場との間に溝ができます。
歯科の中から選ぶか、外から選ぶか
歯科の経験がある人は、現場の言葉が分かります。外から来た人は、医院の当たり前を疑えます。
どちらが良いというより、何を求めるかです。いまの運び方を整えたいなら中から、形を変えたいなら外から。
外から来た人を置く場合は、最初の3か月は現場に入ってもらいます。診療の流れを見ずに数字だけを見ると、現場が離れます。
置かない医院の形もある
小さな医院では、事務長を置かずに、院長と二番手で分けるほうが早いことも多いです。
人数が10人を超えたあたりから、連絡の手間が急に増えます。この手間を誰かが引き受けないと、院長の時間が削られていきます。置くか置かないかの目安は、ここにあります。
置かないと決めるなら、代わりに誰が何を引き受けるかを決めます。決めずに置かないのは、院長が全部引き受けるということです。
この記事のまとめ
- 「院長の手が空くように」は仕事の中身ではない
- 院長の仕事を書き出し、渡せるものに印をつける
- 渡しやすいのは手順が決まっているもの。評価は渡さない
- 整えたいなら歯科の中から、変えたいなら外から
- 人数が10人を超えると連絡の手間が急に増える。そこが目安
